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機関紙165号(抜粋)発行=2024年7月15日

機関紙「神奈川近代文学館」165号から当館の情報を抜粋してお送りします。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。
★機関紙は1部100円、ミュージアムショップ・郵送で販売しています。

〈機関紙165号寄稿など〉
【理事長就任にあたって】
情熱と審美眼-荻野アンナ
【寄稿・古田足日展】
ホタルブクロの咲く野へ―橋本麻里
【展覧会場から】
「手をつなごう」からの出発
【追悼・三木卓】
「ミッドワイフの家」とお相撲―辻原登
【連載随筆】
火の言葉だけが残った② 漱石、一本の光―吉増剛造
【所蔵資料紹介49】
須賀敦子 父母宛書簡(1)

https://www.kanabun.or.jp/webshop/organ-webshop/


神奈川近代文学館 第165号(抜粋)
発行=2024年7月15日

〈記事〉


◎「没後10年 古田ふるた足日たるひのぼうけん」を開催

 8月10日(土)から9月29日(日)まで、企画展「没後10年 古田足日のぼうけん」を開催する。編集委員は佐藤宗子理事、宮川健郎評議員。白梅学園大学・白梅学園短期大学、白梅学園大学附属白梅幼稚園、童心社の特別協力。
 戦後の子どもの本の分野を牽引した古田足日。激しく変化する戦後社会で育つ子どもたちを見つめ、向き合いながら、作品を通して新しい子どものとらえ方、児童文学のあり方を追究した。『宿題ひきうけ株式会社』『ロボット・カミイ』『大きい1年生と小さな2年生』など、子どもの立場からその生活をあざやかにとらえた物語の数々は、子どもたちの支持を受けて読み継がれ、ロングセラーとなっている。
 なかでも名コンビと呼ばれた画家・田畑精一との共作により、押し入れの中でくり広げられる子どもの冒険を描き出した絵本『おしいれのぼうけん』は今年、刊行50周年を迎える。手をつなぎ合って不安に立ち向かう子どもたちの姿は今なお読者を力づけている。
 一方、そうした創作活動と両輪をなしたのが、出発点でもあった評論家としての仕事だった。新時代の児童文学の理想と課題を打ち立てた「さよなら未明」をはじめ、子どもの本の現在を考察し、さまざまな問題を提起しながら可能性をさぐる評論活動は、作品世界における探究と分かちがたくかかわりあっていた。
 本展では、子どもたちの生きる力となる児童文学を問い続けて創作と評論の双方からチャレンジを重ねた古田の〈ぼうけん〉を、ご家族から受贈した資料や、白梅学園の所蔵資料を中心にたどる。
 主な出品資料は、『おしいれのぼうけん』『へび山のあい子』などの草稿や創作メモ、旧蔵書、遺品に加え、田畑精一画『ダンプえんちょうやっつけた』挿絵原画、久米宏一画『宿題ひきうけ株式会社』表紙習作、堀内誠一画『ロボット・カミイ』挿絵原画など。「少年文学宣言」など初期評論活動の資料も展示する。総点数は約300点。

◎秋の特別展は「安部公房展」

 10月12日(土)から12月8日(日)まで、特別展として「安部公房展――21世紀文学の基軸」を開催する。編集委員は三浦雅士氏、アートディレクションは近藤一弥氏。
 世界中で幅広い読者を持つ安部公房。学生時代に詩作から出発した創作活動は、小説や戯曲の執筆へ、さらに自身が主宰する演劇グループ・安部公房スタジオによる総合芸術の追究へと拡がっていった。展覧会ではその足跡をたどり、作家という肩書きには収まらない表現者・安部公房の全貌に迫る。

◎新理事、新評議員を選任

 6月4日(火)の第14回定時評議員会で、堀江敏幸氏を新たに理事に、澤茂樹前事務局長を新たに評議員に選任した。

◎古田足日資料を受贈

 古田文恵氏から『大きい1年生と小さな2年生』『おしいれのぼうけん』ほかの草稿、創作メモ、写真など約500点をご寄贈いただいた。詳細は本号9頁資料受贈報告に掲載。

◎故・倉和男氏の著書『文学館縁起』刊行

 当館の元事務局長で、財団理事、評議員を務められた倉和男氏の遺著『文学館縁起 鎌倉の文学者たちによせて』が刊行された。1963年から日本近代文学館(67年開館)、85年からは当館(84年開館)に勤務し、2つの文学館の草創期を知る著者による貴重な文学館運動の記録。当館設立・増改築の経緯をはじめ、開館記念展「近代文学100年と神奈川展」や〈神奈川文学散歩展〉シリーズなどの試み、「尾崎一雄文庫」、「木下杢太郎文庫」、芥川龍之介「蜘蛛の糸」原稿ほか収蔵資料の受贈秘話などを紹介する。
 日本近代文学館、鎌倉文学館、大佛次郎記念館の草創期についてもひもとく内容。
 かまくら春秋社刊、装丁・中村聡。税込2,530円。当館の閲覧室でも読むことができる。

◎新ミュージアムグッズのお知らせ

神奈川近代文学館開館40周年を記念して、新たにオリジナルグッズ『中島敦コレクション絵はがきセット』の販売を開始した。
 ・中島敦画 横浜山手風景 [1935年ころ]
 ・中島敦 横浜高等女学校で 1934年 
 ・中島春城画「猛虎図」 1935年 中島敦旧蔵
 ・中島敦書「蟄竜三冬臥老鶴万里心」(杜甫作) 制作年不明
 以上4枚のポストカードと、作品解説ミニカードが入ったセット。価格は税込400円(セット販売のみ)。当館ミュージアムショップでの販売のほか、郵送販売も行う。

訃報

鷹羽狩行氏 2024年5月27日死去。93歳。1987年1月から2011年3月まで財団評議員を務められた。

山田宗睦氏 2024年6月17日死去。99歳。1988年4月から2011年3月まで財団評議員、理事、常務理事を、2022年まで神奈川近代文学館懇話会幹事長を務められた。

〈資料受贈報告〉

◆鹿沼智美氏から、勁草書房編集者だった故・田邊貞夫氏旧蔵の石川淳、井伏鱒二、江藤淳、大江健三郎、大岡昇平、川端康成、小林秀雄、武田泰淳、吉田健一らの『河上徹太郎全集』関連原稿、高見順らの『橘樸著作集』関連原稿など21点。
◇三好亨氏から、三好豊一郎の詩稿、作歌ノート、書、三好宛鮎川信夫、岡崎清一郎、北川冬彦、北村太郎、黒田三郎、田中冬二、田村隆一、那珂太郎、中桐雅夫、永田耕衣、西脇順三郎、村野四郎ほか書簡、三好豊一郎詩画集「黙示」、詩画集「あんま」、細江英公『鎌鼬』とその内容見本、新輯版『薔薇刑』内容見本、田村隆一結婚記念に制作された江戸川乱歩「城ヶ島の雨」レコードなど。
◆古屋健三氏から、氏宛坂上弘、宮本輝書簡など20通。
◇藤谷道夫氏から氏宛須賀敦子書簡、須賀のダンテ「神曲」下訳ノート、大学授業のためのノートなど。
◆松井洋一郎氏から、森田草平宛夏目漱石書簡、松井弘氏宛小宮豊隆書簡、小宮豊隆書軸など6点。
◆岩田敦夫氏から獅子文六文庫の追加として、中村光夫、宮田重雄ほかからの獅子文六宛書簡58通。
◇中村晋一郎氏から、尾崎士郎宛尾崎一雄書簡、一雄に言及した士郎の日記、清子夫人宛書簡、内山雨海による『人生劇場 風雲篇』装幀図案、「空想部落」執筆切抜、執筆誌など。
◆小林晴子氏から庄野潤三文庫追加として、庄野「ぶらんこに乗つた…」色紙、家族写真など17点。
◆長谷川弘道氏から橋本治画絵馬。
◆小林克哉氏から橋本治「マドギワ語訳徒然草」原稿。
◆富永真弘氏から、富永太郎の小学校時代の書画帖、「クリスマス・ローズ」ほか版画、『富永太郎詩集』ほか太郎と富永次郎の著書、中原中也『山羊の歌』、雑誌など30点。
◇古田文恵氏から古田足日資料追加として、『大きい1年生と小さな2年生』『おしいれのぼうけん』『さくらんぼクラブのおばけ大会』「宿題ひきうけ株式会社」「ダンプえんちょうやっつけた」「月の上のガラスの町」『ねこねここねこおまえはどこだ』「ぼくらは機関車太陽号」「ロボット・カミイ」ほかの原稿、草稿、創作メモ、写真、印刷物など。
 2023年度出版社からの新刊定期寄贈は、岩波書店から図書93冊、雑誌36冊。講談社から図書342冊、雑誌22冊。集英社から図書193冊、雑誌27冊。新潮社から図書183冊、雑誌37冊。筑摩書房から図書116冊。中央公論新社から図書181冊、雑誌24冊。文藝春秋から図書224冊、雑誌34冊。

 このほか今回も多くの個人、団体からご寄贈いただきました。
*受入済資料は閲覧できます(本欄資料受贈報告の内、◆印の資料は受入済です。特別資料閲覧は事前手続が必要です)。

〈お知らせ〉

★下記の各行事につきましては、今後の状況により、中止、延期など予定を変更させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
最新情報については、ホームページ でご確認ください。
*会場は、Ⓐ=展示館2階ホール、Ⓑ=展示館2階中会議室です。

◆古田足日展関連イベント◆

◎花音朗読コンサート
■9月7日(土)Ⓐ13:30~
「『没後10年 古田足日のぼうけん』に寄せて」
出演:語りと音楽・花音
参加無料・要事前申込・先着順

◎記念講演会
■9月15日(日)Ⓐ14:00~
「『おしいれのぼうけん』誕生の秘密」
講師:酒井京子
料金:1,000円(友の会800円)

◎かなぶんキッズクラブ
①「紙芝居がはじまるよ!」
■8月11日(日・祝)Ⓑ10:30~
「せかい一大きなケーキ」ほか
出演:山下康
参加無料・要事前申込・先着順

②「子ども映画会」
■8月14日(水)、15日(木)Ⓐ10:30~
「大きい1年生と小さな2年生」ほか
参加無料・要事前申込・先着順

③ワークショップ「ロボット・カミイのなかまたちをつくろう!」
■8月24日(土)Ⓑ10:30~ /14:00~
講師:堀内紅子
参加無料・要事前申込・抽選
*5歳以上小学生以下限定・要保護者同伴

◎かなぶんひろば・おはなし会
■8月20日(火)、28日(水)各日10:30~/14:00~
出演:童心社スタッフ/会場:展示館1階エントランスホール/参加無料(要展示観覧料)・申込不要

◎スライドトーク(職員の展示解説)
■8月31日(土)、9月22日(日・祝)、28日(土)各日14:00~
会場:展示館1階エントランスホール/参加無料(要展示観覧料)

◆その他のイベント◆

◎DVD上映会「被爆とわたくし」
■8月10日(土)Ⓑ13:30~
ビデオ出演:林京子、黒古一夫
参加無料・当日先着順

〈館の記録3-6月〉

■3月20日(水・祝)、文芸朗読会「私の心の文学」を開催。出演は栗原小巻氏。
■3月24日(日)、かなぶんキッズクラブ「紙芝居がはじまるよ!」(出演・山下康氏)、27日(水)には「子ども映画会」を開催。
■3月29日(金)、観桜の会を開催。理事、評議員、文学館懇話会会員、支援する会会員、マスコミ関係者などが懇談。
■3月30日(土)、特別展「帰って来た橋本治展」オープン。前日に内覧会を開催。会期は6月2日(日)まで。会期中記念イベントを開催。4月20日(土)、講演と対談「冗談と真情と」(出演・松家仁之氏、柴岡美恵子氏)。5月3日(金・祝)、講演会「橋本治という時代」(講師・橋爪大三郎氏)。5月25日(土)、記録映像上映会「豪華本『マルメロ草紙』はこうして生まれた」(アフタートーク出演・浦谷年良氏、松家仁之氏)。
■3月30日(土)、横光利一文学会第23回大会を当館ホールで開催(当館共催)。
■4月7日(日)、27日(土)、5月18日(土)、6月16日(日)、開館40周年記念企画「文学・どこへゆくのか」第Ⅱ期「作家が受け継ぐもの」(1)~(4)を開催。(1)辻原登理事、(2)池澤夏樹氏、(3)小川洋子氏、(4)平野啓一郎氏が出演。聞き手・ナビゲーターは、湯川豊氏、尾崎真理子理事。
■5月11日(土)、12日(日)、日本キリスト教文学会第53回全国大会を当館ホールで開催(当館共催)。
■5月14日(火)、神奈川文学振興会第33回理事会、6月4日(火)、第14回評議員会を開催。
■6月5日(水)、14日(金)、友の会行事として「川崎・多摩文学散歩」を実施。庄野潤三旧宅などを訪問。
■6月8日(土)、企画展「没後15年 庄野潤三展―生きていることは、やっぱり懐しいことだな!」オープン。会期は8月4日(日)まで。
■6月8日(土)、昭和文学会春季大会を当館ホールで開催(当館共催)。
■6月12日(水)、全国文学館協議会幹事会及び総会が日本近代文学館で開催され、事務局長らが出席。

〈掲示板〉

■島崎藤村忌
8月22日(木)、大磯町大磯の地福寺で行われる。問い合わせは大磯町観光協会事務局(電話0463-61-3300)。

■大衆文学研究会神奈川支部 講演会
9月28日(土)、当館中会議室で開催。落合早苗氏の講演「最新 電子書籍事情」 。問い合わせは同会事務局・阿部さん(電話090-2646-1206)。当館後援。


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