機関紙第156号(抜粋)発行=2022年4月1日
機関紙「神奈川近代文学館」156号から当館の情報を抜粋します。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。
★機関紙は1部100円、ミュージアムショップ・郵送で販売しています。
156号 寄稿など
〈寄稿・吉田健一展〉松家仁之:吉田健一の家
〈寄稿・吉田健一展〉富士川義之:吉田健一の漱石批判
〈寄稿・ドナルド・キーン展〉尾崎真理子:渾身の笑顔
〈連載随筆〉復本一郎:行く先々で俳人と(1)横山白虹
〈展覧会場から〉“大和”の異稿「巨艦送葬譜」
〈所蔵資料紹介40〉籾山梓月宛 島崎藤村書簡(3)
神奈川近代文学館 第156号(抜粋)
発行=2022年4月1日
〈記事〉
◎「生誕110年 吉田健一展」を開催
春の特別展として4月2日(土)から5月22日(日)まで、「生誕110年 吉田健一展 文學の樂み」を開催する。編集委員は富士川義之評議員。講談社、中央公論新社ほかの協賛。
吉田健一は、当時外交官で、戦後首相を務めた吉田茂の長男として生まれ、海外の父の任地で過ごした幼少期に流暢な英語を身につけた。日本の中学を卒業後、英国のケンブリッジ大学に学び、その伝統と風土のなかでヨーロッパの文学に魅了されながらも、日本で文士として生きてゆく決意を固め帰国。長い修業時代を経て、「英国の文学」「乞食王子」「舌鼓ところどころ」「金沢」「時間」など個性あふれる作品を世に送り出した。
当館では2016年にご遺族から受贈した資料約5,700点を「吉田健一文庫」として保存。本展はそれらの資料を中心に、その生涯と作品を辿る。主な出品資料は、「英国の文学」「文学の楽み」「時間」「変化」などの原稿、ケンブリッジの恩師・ルカスあてや、中村光夫など諸家との往復書簡、「鉢木会」連歌帖、父・茂あて献呈図書、旧蔵品など。総点数は約500点。
◎「ドナルド・キーン展」を開催
5月28日(土)から7月24日(日)まで、特別展 「生誕100年 ドナルド・キーン展―日本文化へのひとすじの道」を開催する。編集協力はキーン誠己氏。一般財団法人ドナルド・キーン記念財団の特別協力、コロンビア大学C・V・スター東亜図書館、東京都北区立中央図書館、ドナルド・キーン・センター柏崎、公益財団法人ブルボン吉田記念財団の協力。新潮社、中央公論新社ほかの協賛。
世界文明の観点から日本文化の魅力を位置づけようと、生涯学究生活を続けたドナルド・キーン。アメリカと日本を往来しながら研究を重ね、日本国内では、その深い学識と温かい人柄から多くの文壇の人々と交流を深めた。また、多彩な日本文学作品の翻訳や紹介に取り組み、海外に伝えた。古典芸能の領域についても、その美の言語化に傾注し、伝統文化の真髄を国内外に説き続けた。さらに、2012年には日本国籍を取得。日本の土に還ることを選択し、最期まで日本への愛を貫いた。
本展では、代表的な業績を97年の生涯とともに辿りながら、キーンが語り、書き残した言葉で豊かな日本文化の魅力を再確認する。
主な出品資料は草稿類、英語でやりとりしていた吉田健一あて書簡、愛蔵のアーサー・ウエーリの著作や書画、骨董類など。総点数は約500点。
夏以降の展覧会スケジュール
7月30日(土)~9月25日(日)
企画展・堀内誠一展 絵の世界(仮称)
10月1日(土)~11月27日(日)
特別展・没後50年 川端康成展 虹をつむぐ人
〈資料受贈報告〉
◆田中南欧子氏から、澁澤龍彥の親友・武井宏氏旧蔵資料。入院中の澁澤からの見舞礼状、澁澤幸子、澁澤の母・節子、澁澤道子、澁澤龍子、出口裕弘、矢川澄子らの氏宛書簡、澁澤関連記事切抜、肖像写真など40点、図書、雑誌54冊。
◆中堀增夫氏から、夏目漱石「坊っちゃん」に登場する「うらなり」のモデル候補・中堀貞五郎が「坊っちゃん」「狸校長」「赤シャツ」「山嵐」らのモデル候補を含む旧制松山中学校の教員や、同校の校舎、校庭風景を撮影した写真など18点。
◆故・中島きよ子氏から、石渡園子氏宛吉川英治書簡1通。
◆中島桓氏から中島敦文庫追加として、中島敦に宛てた教え子からの書簡1通。
◇司修評議員から、氏制作の産経児童出版文化賞美術賞受賞作・網野善彦『河原にできた中世の町』原画、三浦哲郎『みちづれ』『ふなうた』(新潮文庫)の木製モザイク装幀原画、『冬の雁』函装幀原画の版木、氏宛三浦哲郎書簡。
◇小松美沙子氏から小林勇資料追加として、小林の入院日記、小林画「葉鶏頭」「牡丹」「ジンジャ」「黒い魚」「くちなし」、黒須巳之吉、長谷川如是閑の小林宛はがき、小宮豊隆と中村吉右衛門が小林に書いた小唄の免状、中川一政から贈られた陶印、馬場一郎制作の印など小林旧蔵の印章、『随筆書画一如』限定版など。
◇吉川道子氏から、中村光夫、吉田健一の吉川逸治宛鉢木会案内はがき、雑誌「一高同窓会々報」「海」(大阪商船)、「観光朝鮮」「季刊美術」([季刊美術社])、「芸文」(開成館出版部)、「思想」(岩波書店)、「社会及国家」「週刊婦女新聞」「少女倶楽部」「少女の友」「新美術」(春鳥会)、「スタア」「生活美術」「日本美術」(美之国社)、「美術」(日本美術出版社)、「婦人画報」(復刊)、「文化朝鮮」「みつこし」。
このほか今回も多くの個人、団体からご寄贈いただきました。
〈受入済資料〉
◆井上紀子氏寄贈城山三郎資料のうち原稿、自筆資料、書画、印刷物、写真、遺品(本紙111号8頁参照)。
◆橋本美代子氏寄贈橋本治文庫のうち原稿(本紙145号8頁参照)。
◆柳澤健氏寄贈橋本治資料(本紙145号9頁参照)。
◆渡辺東氏寄贈渡辺温・啓助資料(本紙155号8頁参照)。
*受入済資料は閲覧できます(本欄資料受贈報告の内、◆印の資料は受入済です。特別資料閲覧は事前手続が必要です)。
〈お知らせ〉
★下記の各行事につきましては、今後の状況により、中止、延期など予定を変更させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
最新情報については、ホームページでご確認ください。
★特に記載がない場合、会場は展示館2階ホールです。
◆吉田健一展関連イベント◆
◎文芸映画を観る会(吉田健一展記念上映)*会員制上映会
■4月15日(金)、16日(土)各日13:30~
「ハワーズ・エンド」(1992年 イギリス・日本、原作:E・M・フォースター、原作翻訳:吉田健一) BD上映
料金:800円(友の会600円)
◎記念講演会
■4月23日(土)14:00~
「翻訳家吉田健一」
講師: 富士川義之
料金:1,000円 (友の会800円)
■5月7日(土)14:00~
「吉田健一 ――黄昏の文学」
講師:松浦寿輝
料金:1,000円(友の会800円)
■5月14日(土)14:00~
「批評と文明批評」
講師:三浦雅士
料金:1,000円(友の会800円)
◎ギャラリートーク
■会期中の毎週金曜日14:00~
当館職員による展示解説
会場:展示館1階エントランスホール
参加無料(要展示観覧料)
◆ドナルド・キーン展関連イベント◆
◎記念講演会(兼友の会講座)
■6月4日(土)13:30~
「世界文学としての『源氏物語』――ドナルド・キーンの運命を変えたアーサー・ウェイリー訳」
講師:毬矢まりえ、森山恵
料金:800円(友の会400円)
◎記念対談
■6月18日(土)14:00~
「それぞれの交遊――ドナルド・キーンを語る」
出演:角地幸男、キーン誠己
料金:1,200円 (友の会1,000円)
◎記念講演会
■6月25日(土)14:00~
「キーンさんの思い出」
講師: 平野啓一郎
料金:1,000円 (友の会800円)
◎文芸映画を観る会(ドナルド・キーン展記念上映)*会員制上映会
■7月8日(金)、9日(土)各日13:30~
「細雪」(1950年 新東宝、監督:阿部豊、原作:谷崎潤一郎) BD上映
料金:800円(友の会600円)
◎ギャラリートーク
■6月12日、7月3日、17日(いずれも日曜日)14:00~
当館職員による展示解説
会場:展示館1階エントランスホール
参加無料(要展示観覧料)
◆その他のイベント◆
◎かなぶん寄席 講談会
■4月9日(土)14:00~
「梶川与惣兵衛」「与謝野晶子」
出演:神田蘭
料金:1,200円(友の会1,000円)
◆友の会◆
◎友の会の集い
■6月4日(土)15:10~
〈館の記録 12月-3月〉
■12月23日(木)、第12回神奈川近代文学館懇話会総会を開催。
■1月9日 (日)~3月27日(日)、 神奈川新聞日曜版「カナガワ×メイサク」へ当館職員が寄稿。
■1月18日(火)、機関紙「神奈川近代文学館」155号から、内容の一部抜粋を公式noteに公開開始。
■2月4日(金)、8日(火)、15日(火)の友の会行事「大磯文学散歩」は感染症の拡大を受けて延期。
■2月8日(火)、秋の特別展「川端康成展」の編集委員会を開き、編集委員の荻野アンナ理事が出席。タイトルを「没後50年 川端康成展 虹をつむぐ人」に決定。
■2月20日(日)、夏目房之介氏講演会「孫からみた漱石の書画」ダイジェストをWeb公開。
■3月10日(木)、神奈川文学振興会第27回理事会を開催。2021年度補正予算及び2022年度事業計画・予算が承認された。
■3月17日(木)、18日(金)、友の会行事として「獅子文六ゆかりの外苑・信濃町文学散歩」を実施。
〈掲示板〉
■鎌倉漱石の會60周年記念企画「新感覚で語る『門』」シンポジウム&朗読6月11日(土)、北鎌倉の円覚寺塔頭・帰源院で開催。小説『門』の魅力を、シンポジウムと朗読で、探り、広める企画。問い合わせは菅佐原さん(電話080-5533-2250)。当館後援。
■大衆文学研究会神奈川支部 講演会
6月25日(土)、当館中会議室で開催。音楽プロデューサー・寺本幸司氏の講演「浅川マキとともに」 。問い合わせは同会事務局・阿部さん(電話090-2646-1206)。当館後援。