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機関紙164号(抜粋)発行=2024年4月1日

機関紙「神奈川近代文学館」164号から当館の情報を抜粋します。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。
★機関紙は1部100円、ミュージアムショップ・郵送で販売しています。

〈機関紙164号寄稿など〉
【寄稿・橋本治展】
若き日の橋本治―馬渕明子
港の見える丘に立って―千木良悠子
【展覧会場から】
幻の「桃尻娘」応募原稿
【寄稿・庄野潤三展】
おいしい。うれしい。よろこぶ。―中島京子
【連載随筆】
火の言葉だけが残った① 芥川龍之介、名作「蜃気楼」―吉増剛造
【所蔵資料紹介48】
尾崎一雄・尾崎士郎交友書簡(3)

https://www.kanabun.or.jp/webshop/organ-webshop/


神奈川近代文学館 第164号(抜粋)
発行=2024年4月1日

〈記事〉


◎「帰って来た橋本治展」を開催

 春の特別展として3月30日(土)から6月2日(日)まで、「帰って来た橋本治展」を開催する。編集委員は松家仁之氏。新潮社、中央公論新社ほかの協賛。
 橋本治(1948~2019)は、1977年に高校生の日常を描いた「桃尻娘」で小説家としてデビュー。女子高校生の話し言葉で、若者が日ごろ抱える社会への不満や悩み――妊娠や同性愛といったテーマにも斬り込み、それまでにないスタイルと内容で世間に衝撃を与えた。すでにイラストレーターとして活躍していた橋本は、以後、小説執筆と併行して、恋愛や性、家族、時代を論じ、舞台やイベントを演出し、セーターの編み方を教え、古典をひもとくなど、八面六臂の活躍を繰り広げた。どんな未知の分野にもひるまず分け入った橋本の原動力は「わからない」ことを解明したいという思いだったといい、その成果は膨大な数の著作となって、我々に大きな〈恵み〉をもたらし続けている。
 本展は、橋本のご家族や関係者から当館に寄贈された「橋本治文庫」の資料を中心に展示し、人間と人間の生きた時代を描き出そうとした橋本の生涯をたどる。主な出品資料は「桃尻娘」『窯変 源氏物語』『双調 平家物語』「草薙の剣」などの原稿のほか、第19回駒場祭ポスター原画、「国文学 解釈と鑑賞」表紙原画、橋本が編んだセーターや机辺の品々など。総点数は約450点。

◎新理事長に荻野アンナ理事

 3月12日の定例理事会で、辻原登理事長から退任の意向が示され、これを承けて荻野アンナ理事が新理事長に選任された。辻原理事長は、2012年4月に紀田順一郎理事長の後に、12年にわたり理事長を務めた。荻野新理事長は、2001年3月財団評議員に就任、財団理事、財団常務理事を経て、公益財団への移行後は2017年5月から理事を務めてきた。なお辻原理事長は理事として留まる。

◎「庄野潤三展」を開催

 6月8日(土)から8月4日(日)まで、企画展「没後15年 庄野潤三展――生きていることは、やっぱり懐しいことだな!」を開催する。
 庄野潤三(1921~2009)は、芥川賞受賞作「プールサイド小景」や、家族との日常を描いた「夕べの雲」などで知られる。自らの実感に基づき、平明な文体で描いた文学世界で今なお多くの読者を惹きつけている。1961年以降、終生川崎市生田に暮らし、神奈川とのゆかりも深い。主な出品資料はご遺族から寄贈された「庄野潤三文庫」の資料のほか、「静物」原稿、旧蔵の古備前の甕など。
 常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち 第1部」と同時開催。

〈資料受贈報告〉

◆故・小池晃氏から、小池氏宛山川方夫書簡9通、慶應義塾幼稚舎記念アルバムなど。
◇菅木志雄氏から、富岡多恵子資料として『中勘助の恋』「湖の南」ほか原稿、執筆ノート、絵画、執筆切抜、写真、遺品の画材、著書など。
◇大岡かね子氏から、大岡信資料の追加として「折々のうた」『記憶と現在』ほかの草稿、原稿、エリュアール詩の訳稿、東京大学卒業論文「夏目漱石論」、詩稿ノート、同人誌「鬼の詞」「赤門文学」など。
◆石橋正彦氏から、川端康成書「美しい日本」軸1点。
◆鰀目耕太氏から、中野重治の手帳、中野宛佐藤春夫、高村光太郎、滝井孝作、堀辰雄、結城哀草果書簡、国木田独歩宛幸徳秋水書簡など。

 このほか今回も多くの個人、団体からご寄贈いただきました。

〈受入済資料〉

◆堀多恵氏寄贈堀辰雄文庫のうち洋雑誌(本紙26号1頁参照)。
◆神西敦子氏寄贈神西清文庫追加分(本紙101号9頁参照)。
◆菅木志雄氏寄贈富岡多恵子資料のうち執筆ノート、絵画、写真、画材。

*受入済資料は閲覧できます(本欄資料受贈報告の内、◆印の資料は受入済です。特別資料閲覧は事前手続が必要です)。

〈お知らせ〉

★下記の各行事につきましては、今後の状況により、中止、延期など予定を変更させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
最新情報については、ホームページ https://www.kanabun.or.jp/ でご確認ください。
*特に記載がない場合、開始は14:00、会場:展示館2階ホール。

◆橋本治展関連イベント◆

◎記念講演と対談
■4月20日(土)
「冗談と真情と」
出演:松家仁之、柴岡美恵子
料金:1,200円(友の会1,000円)

◎記念講演会
■5月3日(金・祝)
「橋本治という時代」
講師:橋爪大三郎
料金:1,000円(友の会800円)

◎記念記録映像上映会
■5月25日(土)13:30~
「豪華本『マルメロ草紙』はこうして生まれた―知られざる8年間の闘い―」(2024年 テレビマンユニオン 映像出演:橋本治、岡田嘉夫ほか)
アフタートーク出演:浦谷年良、松家仁之
料金:1,200円(友の会1,000円)

◎スライドトーク(職員の展示解説)
■会期中の毎週金曜日(5月3日を除く)
会場:展示館1階エントランスホール/参加無料(要展示観覧料)

◆庄野潤三展関連イベント◆

◎記念トークイベント
■6月29日(土)
「物語の幸福」
出演:江國香織、刈谷政則
料金:1,200円(友の会1,000円)

■7月13日(土)13:30~
「おとうくん、おかあくんの思い出」
出演:今村夏子、島田潤一郎
料金:1,000円(友の会700円)

◎スライドトーク(職員の展示解説)
6月23日(日)、7月7日(日)、27日(土)
会場:展示館1階エントランスホール/参加無料(要展示観覧料)

◆その他のイベント◆

◎開館40周年記念企画「文学・どこへゆくのか」
*③④は満席となりました。
■第Ⅱ期「作家が受け継ぐもの」
聞き手・ナビゲーター:湯川豊、尾崎真理子
①4月7日(日) 出演:辻原登
②4月27日(土) 出演:池澤夏樹
③5月18日(土) 出演:小川洋子
④6月16日(日) 出演:平野啓一郎
各回料金:1,200円(友の会1,000円)

◆友の会◆

◎2024年度前期文学散歩
6月に川崎・生田方面を訪問予定。

◎友の会の集い
■7月13日(土)15:10~

〈館の記録1-3月〉

■1月14日(日)、かなぶん連句会「太郎冠者の巻」を開催。選者は小島ゆかり氏、辻原登理事長、長谷川櫂副理事長。
■1月20日(土)、県高文連図書専門部と生徒研修会を共催。
■1月21日(日)、開館40周年記念企画「文学・どこへゆくのか」第Ⅰ期③「この作家を忘れない」を開催。湯川豊氏、尾崎真理子理事が対談。
■2月3日(土)から3月3日(日)まで、東急東横線・みなとみらい線相互直通運転開始20周年記念ラリーに参加協力。
■2月6日(火)、常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち」第3部オープン。「文豪ストレイドッグス」とのコラボ企画を実施。会期は3月24日(日)まで。
■2月11日(日・祝)、「文豪ストレイドッグス」コラボ講演会を開催。講師は朝霧カフカ氏。
■2月17日(土)、フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクトによる朗読会を開催。当館共催。
■2月18日(日)、かなぶんキッズクラブ特別企画「長崎源之助生誕100年記念の集い」を開催。出演・共催は豆の木文庫。
■2月29日(木)、友の会行事として太宰治「人間失格」の読書会を実施。
■3月9日(土)、かなぶん寄席講談会を開催。北條秀司原作「王将」、「木村重成の最期」(難波戦記より)を神田蘭氏が口演。
■3月12日(火)、神奈川文学振興会第32回理事会を開催。2023年度補正予算及び2024年度事業計画・予算が承認された。

〈掲示板〉

■大衆文学研究会神奈川支部 講演会
4月27日(土)、当館中会議室で開催。浜井武氏の講演「大西巨人、小松左京――思い出の作家たち」 。問い合わせは同会事務局・阿部さん(電話090-2646-1206)。当館後援。

■第124回鎌倉漱石の会例会
4月29日(月・祝)、北鎌倉の円覚寺塔頭・帰源院で開催。ホンダ・アキノ氏、小森陽一氏の講演がある。問い合わせは菅佐原さん(電話080-5533-2250)。

■夏目漱石参禅130年記念企画「新感覚で語る『門』」
6月8日(土)、北鎌倉の帰源院で開催。今野真二氏、鈴木希帆氏、堀真潮氏によるシンポジウムなど。問い合わせは菅佐原さん(電話080-5533-2250)。鎌倉漱石の会主催、当館後援。


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