機関紙第160号(抜粋)発行=2023年4月1日
機関紙「神奈川近代文学館」160号から当館の情報を抜粋します。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。
★機関紙は1部100円、ミュージアムショップ・郵送で販売しています。
〈機関紙160号寄稿など〉
【寄稿・小津安二郎展】
超現実の眼射し―佐野史郎
荷風日記を愛読した小津―川本三郎
【展覧会場から・小津安二郎展】
「いゝ映画」を作る
【寄稿・武井武雄展】
究極の著者自装―名久井直子
【連載随筆】
63年間を振り返って①早大童話会―山中恒
【所蔵資料紹介44】
坪内逍遙 嶋中雄作宛書簡(二)
神奈川近代文学館 第160号(抜粋)
発行=2023年4月1日
〈記事〉
◎「小津安二郎展」を開催
春の特別展として4月1日(土)から5月28日(日)まで、「生誕120年 没後60年 小津安二郎展」を開催する。編集協力は築山秀夫氏。オフィス小津、松竹株式会社の特別協力。鎌倉文学館、公益財団法人川喜多記念映画文化財団、公益財団法人江東区文化コミュニティ財団 江東区古石場文化センターの協力。筑摩書房ほかの協賛。
日本を代表する映画監督・小津安二郎は、日本の文化や社会状況を背景に、家族の日常、人生の悲哀などを、練り上げた脚本と〈ローポジション〉をはじめとする独自の撮影技法によって、細部にまでこだわり表現した。2012年には英国映画協会発行の雑誌「サイト&サウンド」において、世界の監督が選ぶ映画で、『東京物語』が第1位に選ばれるなど、「小津調」と呼ばれるその作品世界は、国境を越え世代を超えて多くの人に愛され、評価され続けている。
東京・深川に生まれた小津は、9歳のときに母やきょうだいたちとともに三重・松阪に移る。ここで多くの外国映画に親しみ、映画的感性を磨き上げていった。少年期に父と離れて暮らしたこと、過酷な戦争体験など、小津が経験してきたことのひとつひとつは、自ら創り出す映画へ結実していく。戦後は鎌倉に住み、『晩春』『麦秋』『東京物語』など代表作の脚本を湘南の旅館・茅ヶ崎館で執筆。また、戦前から県内各所をロケ地とすることが多く、神奈川は小津映画にとって大変ゆかりの深い土地であった。今回の展覧会では、小津の生涯とともに小津映画の変遷を辿り、神奈川に残した小津の足跡にも焦点を当てる。
主な出品資料は『生れてはみたけれど』など代表作の監督用台本や『秋刀魚の味』絵コンテ、当時のポスターや宣伝グッズ、日記や書画、野田高梧や母あさゑあての書簡、ピケ帽や酒器、筆記具ほか遺品類など。総点数は約500点。
◎「武井武雄展」を開催
6月3日(土)から7月23日(日)まで、企画展 「本の芸術家・武井武雄展」を開催する。特別協力はイルフ童画館、岡谷市。
武井武雄(1894~1983)は、童画、版画の創作と並行して、画、詞文、印刷技法、素材が調和する真に芸術的な本の創造を目指して、小型の画文集「武井武雄刊本作品」を約半世紀にわたり製作した。
没後40年を機に開催する本展では、当館の「平尾榮美コレクション 武井武雄資料」やイルフ童画館所蔵作品などをもとに、多種多彩な造本技巧と武井の画文の魅力によって「本の宝石」と称される、愛書家垂涎の「武井武雄刊本作品」全139冊を、武井の足跡とともに紹介する。常設展「文学の森へ神奈川と作家たち 第三部」と同時開催。
夏以降の展覧会スケジュール
7月29日(土)~9月24日(日)
企画展・「おまけ」と「ふろく」展 子どもの夢の小宇宙
9月30日(土)~ 11月26日(日)
特別展・没後30年 井伏鱒二展 アチラコチラデブンガクカタル
〈資料受贈報告〉
◆故・中山文男氏から、歌人で天城画廊主の高崎正男旧蔵アルバム。
◇北村良子氏から須賀敦子資料追加として、聖心女子大学卒業論文(ウィラ・キャザー「大司教に死来る」翻訳原稿)、卒業アルバム「門」、須賀訳ダヴィデ・マリア・トゥロルド「地球は破壊されはしない」翻訳草稿など。
◆松本和子氏から庄野潤三文庫追加として、松本静泉宛庄野、阪田寛夫、野呂邦暢書簡、写真など。
◆イヴ・ドードマン氏から、堀口大學訳『TANKASーPetits Poèmes Japonais』、『Poèmes de Konosouké Hinatz』、レミ・ド・グールモン『沙上の足跡』、『シャルルルヰフィリップ短篇集』、ポール・モーラン『レヰスとイレエン』、日夏耿之介訳『英国神秘詩鈔』など、献呈署名本を含む長谷川潔旧蔵書。
◆三枝昻之評議員から『夏は来ぬ』。
このほか今回も多くの個人、団体からご寄贈いただきました。
〈受入済資料〉
◆原満三寿氏寄贈加島祥造書簡。
◆清水可子氏寄贈資料(以上2件は本紙159号9頁参照)。
*受入済資料は閲覧できます(本欄資料受贈報告の内、◆印の資料は受入済です。特別資料閲覧は事前手続が必要です)。
〈お知らせ〉
★下記の各行事につきましては、今後の状況により、中止、延期など予定を変更させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
最新情報については、ホームページでご確認ください。
*特に記載がない場合、会場:展示館2階ホール。
◆小津安二郎展関連イベント◆
◎記念トークと講演
■4月15日(土)14:00~
「岡田茉莉子さんに聞く―小津監督の思い出」*満席となりました。
出演:岡田茉莉子、平山周吉
料金:1,500円(友の会1,200円)
◎記念上映会
■4月29日(土・祝)、30日(日)13:30~
『晩春』(1949年 松竹、監督:小津安二郎)
料金:800円(友の会600円)
■5月6日(土)、7日(日) 13:30~
『秋日和』(1960年 松竹、監督:小津安二郎)
料金:800円(友の会600円)
■5月13日(土)14:00~
『突貫小僧』『和製喧嘩友達』(ともに1929年 松竹、監督:小津安二郎)
活弁:澤登翠 解説:築山秀夫
料金:1,500円(友の会1,200円)
◎スライドトーク(職員の展示解説)
■会期中の毎週金曜日14:00~
会場:展示館1階エントランスホール
参加無料(要展示観覧料)
◆武井武雄展関連イベント◆
◎記念トーク
■6月17日(土)14:00~
「武井武雄、その生涯と芸術」
講師:山岸吉郎
料金:1,000円(友の会800円)
◎ワークショップ
■7月2日(日)13:00~
「豆絵本づくり講座」
講師:田中栞
料金:2,500円
■7月9日(日)10:00~/13:30~
「紙版画講座」
講師:城戸宏
料金:1,300円
◎花音朗読コンサート
■7月17日(月・祝)13:30~
「『本の芸術家・武井武雄展』に寄せて」
参加無料・要事前申込・先着順
◎スライドトーク(職員の展示解説)
■6月25日(日)、7月1日(土)、15日(土)14:00~
会場:展示館1階エントランスホール
参加無料(要展示観覧料)
◆その他のイベント◆
◎小林秀雄没後40年記念連続講演「小林秀雄は永遠に新しい!」
■6月24日(土)13:30~
講師:苅部直、新保祐司
料金:1,000円(友の会800円)
◆友の会◆
◎友の会ギャラリートーク
■5月13日(土)17:00~
解説:築山秀夫 料金:500円
◎友の会の集い
■6月17日(土)16:10~
◎2023年度前期文学散歩
6月上旬に横浜、茅ヶ崎方面を訪問予定。
〈館の記録 1月-3月〉
■1月21日(土)、県高文連図書専門部と生徒研修会を共催。
■1月27日(金)、28日(土)、文芸映画を観る会を開催。「世界を賭ける恋」(原作:武者小路実篤、監督:滝沢英輔)を上映。
■2月3日(金)、7日(火)、14日(火)、友の会行事として「鎌倉二階堂文学散歩」を実施。
■2月11日(土・祝)、常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち」第2部オープン。コーナー展示「夏目漱石特別コレクションから―漱石あて絵はがきを中心に―」併設。会期は3月26日(日)まで。
■2月15日(水)、秋の特別展「井伏鱒二展」の編集委員会を開き、編集委員の絲山秋子氏が出席。
■2月21日(火)、藤沢周理事による「朗読とトーク」から「世阿弥最後の花」のダイジェストをWeb公開。
■2月23日(木・祝)、講演とシンポジウム「ウクライナの核危機林京子を読む」を開催。講師は青来有一氏ほか。林京子さんの人と文学を語る会主催、当館共催。
■2月26日(日)、フェリス女学院大学附属図書館読書運動プロジェクトによる朗読会を開催。当館共催。
■3月5日(日)、国際芥川龍之介学会ISAS第4回研究集会を開催。当館共催。
■3月11日(土)、かなぶん寄席講談会を開催。芥川龍之介原作「お富の貞操」、「小田小右衛門」を神田蘭氏が口演。
■3月15日(水)、神奈川文学振興会第29回理事会を開催。2022年度補正予算及び2023年度事業計画・予算が承認された。
■3月25日(土)、菊地信義没後1年 上映会を開催。「つつんで、ひらいて」(監督・編集・撮影:広瀬奈々子、出演:菊地信義ほか)を上映。アフタートークに広瀬氏、水戸部功氏が登壇。
〈掲示板〉
■大衆文学研究会神奈川支部 講演会
4月22日(土)、当館中会議室で開催。坂崎重盛氏の講演「懐かしきナチュラリスト 永井荷風の散歩術」 。問い合わせは同会事務局・阿部さん(電話090-2646-1206)。当館後援。
■第122回鎌倉漱石の会例会
4月29日(土・祝)、北鎌倉の円覚寺塔頭・帰源院で開催。木谷真紀子氏、小森陽一氏の講演がある。問い合わせは菅佐原さん(電話080-5533-2250)。