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機関紙第162号(抜粋)発行=2023年10月1日

機関紙「神奈川近代文学館」162号から当館の情報を抜粋します。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。
★機関紙は1部100円、ミュージアムショップ・郵送で販売しています。

〈機関紙162号寄稿など〉
【寄稿・井伏鱒二展】
創作と翻訳と骨董蒐集と―青柳いづみこ
【寄稿・井伏鱒二展】
井伏鱒二の「ドリトル先生」―南條竹則
【展覧会場から・井伏鱒二展】
親友の形見
【連載随筆】
63年間を振り返って③ ボクラ少国民―山中恒
【神奈川とわたし】
港はありません―大崎清夏
【所蔵資料紹介46】
尾崎一雄・尾崎士郎交友書簡(1)

https://www.kanabun.or.jp/webshop/organ-webshop/


神奈川近代文学館 第162号(抜粋)
発行=2023年10月1日

〈記事〉


◎「没後30年 井伏鱒二展」を開催

 秋の特別展として9月30日(土)から11月26日(日)まで、「没後30年 井伏鱒二展 アチラコチラデブンガクカタル」を開催する。編集委員は絲山秋子氏。ふくやま文学館の特別協力。杉並区立郷土博物館、山梨県立文学館の協力。新潮社、中央公論新社ほかの協賛。
 市井の人々の哀歓に寄り添った作品で多くの愛読者を持つ井伏鱒二(1898~1993)。広島県安那郡加茂村(現・福山市加茂町)に生まれ、少年期は画家志望だったが、文学の道を志して上京。早稲田大学中退後、不遇の時を過ごしたのち、「鯉」「山椒魚」などの作品で文壇に認められ、1938年(昭和13)に『ジヨン万次郎漂流記 風来漂民奇譚』で直木賞を受賞した。戦中の徴用を経て、1950年に「本日休診」ほかで読売文学賞、1956年「漂民宇三郎」ほかで日本芸術院賞を受賞するなど、円熟の時を迎える。特に1966年に野間文芸賞を受賞した「黒い雨」は、原爆による悲劇の実相を描き、世界的にも高い評価を得た。小説のほか、「荻窪風土記」などの随筆、「厄除け詩集」、「ドリトル先生」シリーズの翻訳等でも親しまれている。
 本展では、井伏の生涯と作品世界に加えて、井伏が愛したもの――旅、釣り、将棋、書画、焼物などの世界にも注目する。また、一番弟子の太宰治をはじめとする作家たちとの交流を紹介。交わされる言葉の数々とともに、井伏の人間的魅力をひもとく。
 会場では、夫人の節代氏から当館に寄贈された「井伏鱒二資料」を核に、各施設のご協力のもと、貴重資料を一堂に展観。また安岡章太郎、庄野潤三、三浦哲郎ほか当館文庫からも多数の関連資料を紹介する。主な資料は、志賀直哉や佐藤春夫ら諸家あて書簡、青木南八や太宰治ら諸家からの来信。「本日休診」「黒い雨」「荻窪風土記」などの原稿、日記、井伏の書画、釣竿や文机などの遺品類。特に書簡類は多くの未発表資料を含む。総点数は約400点。

https://www.kanabun.or.jp/exhibition/18737/

◎開館40周年記念企画「文学・どこへゆくのか」

 来年10月に迎える開館40周年の記念企画として、湯川豊氏と尾崎真理子理事による連続講座「文学・どこへゆくのか」を行う。11月から開始するイントロダクションは両氏による対談「現代日本文学のほんとうの流れ」ほか全3回。来年4月からは、文学の最前線で活躍する作家をゲストに迎える。

◎「没後50年 大佛次郎展」を開催

 12月2日(土)から来年1月21日(日)までコーナー展示「没後50年 大佛次郎展―戦後の仕事―」を開催する。小説「帰郷」やノンフィクション「パリ燃ゆ」、畢生の大作「天皇の世紀」などに通底する透徹した歴史認識と批評精神を紹介する。大佛次郎記念館と当館所蔵の資料約100点を展示。常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち 第2部」と同時開催。

◎古井由吉資料を受贈、夏目漱石資料も更に充実

 古井睿子氏から古井由吉の原稿、日記、諸家からの来簡などを、また三留正氏から夏目漱石の草稿、書簡などを追加寄贈いただいた。詳細は資料受贈報告に掲載。

〈資料受贈報告〉

◆矢島昂氏から中野孝次文庫の追加として、中野旧蔵の硯、矢島氏宛の中野はがき3通。
◆岸宣夫氏から堀田善衞文庫の追加として、『堀田善衞全集』関連の堀田「御挨拶」原稿、芥川比呂志「堀田・機関銃・酒」原稿。岸氏ほか宛堀田書簡。岡本太郎「清輝と私」原稿、『人物昭和史』原稿など。
◆中村深樹氏から、故・松本亮氏旧蔵の金子光晴画「春画帳」など。
◇古井睿子氏から古井由吉資料として、「槿」「雨の裾」「男たちの円居」「親」「この道」「栖」「聖耳」「辻」「白髪の唄」「聖」など代表作を含む原稿、大学卒業論文、修士論文、日記、語学ノート、江藤淳、河野多惠子、後藤明生、田久保英夫、埴谷雄高、藤枝静男ほかの古井宛書簡、写真、遺品のパイプなど。
◇松島日登美氏から、小沢信男「七夕日記」ほか原稿、丸山薫「海早春」詩稿、小沢を描いた南伸坊、内澤旬子によるイラスト原画、岩橋邦枝、岡本潤ほかの小沢宛書簡など。
◆三留正氏から、寄託となっていた夏目漱石「道草 二十五」「明暗 八、十、十一」草稿、書「仰臥看大空」、菅虎雄、鬼村元成ほか宛書簡、中喜ネル店の雑誌創刊にあたり揮毫した祝字と同店宛書簡など10点。
◆黒田薫氏から、故・川崎芳太郎氏が編集していた児童文学雑誌「はなかご」関連の高村光太郎「約束」など原稿6点。高村、小川未明ほかの川崎氏宛書簡4通など。
◆岩阪恵子氏から清岡卓行資料の追加として、大江健三郎、大岡信、ドナルド・キーン、清水徹、高橋英夫、那珂太郎ほかからの書簡155通。
◆蝦名則氏から、井上剣花坊、下田歌子、遅塚麗水、二葉亭四迷らの祝字を含む中喜ネル店関連資料。
◆故・蝦名火見子氏から、夏目漱石の橋口貢宛絵はがき1通。
◇前川佐重郎氏から前川佐美雄関連資料として、『植物祭』草稿、『大和』『白鳳』『紅梅』『捜神』原稿、書画などのほか、中原中也の前川宛書簡や前川が主宰した雑誌「オレンヂ」「日本歌人」や著書など。
◆橋秀文氏から、岩佐なを画「人参学校」など。
◇今村夏子氏から庄野潤三文庫の追加として、庄野肖像写真など。

 このほか今回も多くの個人、団体からご寄贈いただきました。

〈購入資料〉

◆金子光晴「よごれてゐない一日」、「六道」原稿。
◆井伏鱒二の安成二郎、細田源吉、桂又三郎ほか宛書簡17通。
◇鈴木秀太郎宛安部公房書簡1通。『世紀画集一(別冊世紀群)』、『世紀群 カフカ小品集』(版画)、世紀入会案内、行事日程。鈴木秀太郎宛案内はがき5通。

*受入済資料は閲覧できます(本欄資料受贈報告の内、◆印の資料は受入済です。特別資料閲覧は事前手続が必要です)。

〈お知らせ〉

★下記の各行事につきましては、今後の状況により、中止、延期など予定を変更させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
最新情報については、ホームページでご確認ください。
*特に記載がない場合、開始は14:00、会場:展示館2階ホールです。

◆「井伏鱒二展」関連イベント◆

◎オンラインイベント
■10月5日(木)19:00配信開始
「朗読で楽しむ 井伏鱒二の対談 名場面」
出演:絲山秋子、劇団青年座
参加無料・申込不要 ※オンラインのみでの開催。

◎記念講演会
■10月14日(土)
「リズムと余韻―私が井伏を推す理由」
講師:絲山秋子
料金:一般1,000円 (友の会800円)

◎記念講座
■10月28日(土)
「井伏鱒二―山椒魚の忍耐」
講師:勝又浩
料金:一般800円 (友の会600円)

◎文芸映画を観る会(井伏鱒二展記念上映) *会員制上映会
■11月17日(金)、18日(土)各日13:30~
「黒い雨」(1989年 東映 BD上映 原作:井伏鱒二 監督:今村昌平)
料金:一般800円 (友の会600円)

◎スライドトーク(展示解説)
■会期中の毎週金曜日 
会場:展示館1階エントランスホール/参加無料(要展示観覧料)

◆その他のイベント◆

◎文字・活字文化の日関連記念行事
■10月27日(金)
展示観覧無料、抽選でプレゼントあり。井伏鱒二展スライドトーク(14:00~/参加無料)ほか

◎開館40周年記念企画「文学・どこへゆくのか」
■11月12日(日)
第1期①「現代日本文学のほんとうの流れ」
対談:湯川豊、尾崎真理子
料金:一般1,000円 (友の会800円)

◎古田足日シンポジウム「子どもの味方・子どもの見方」
■11月25日(土)13:30~
報告:藤田のぼるほか、コメンテーター:宮川健郎、司会:佐藤宗子
参加無料・要事前申込
主催:白梅学園大学ほか(当館共催)

◎小林秀雄没後40年記念連続講演「小林秀雄は永遠に新しい!」vol.2
■12月10日(日)13:30~
講師:先崎彰容、前田勉、新保祐司
料金:1,200円(友の会1,000円)

◆友の会◆

◎2023年度後期文学散歩
12月上旬に荻窪を訪問します。

〈館の記録 7月-9月〉

■7月17日(月・祝)、花音朗読コンサート「武井武雄の世界」を開催(当館共催)。
■7月21日(金)、中区・西区の博物館園と共催の「ミュージアム・ミッション2023」がスタート。(~8月31日)
■7月29日(土)、企画展「『おまけ』と『ふろく』展 子どもの夢の小宇宙」オープン。会期は9月24日(日)まで。会期中記念イベントを開催。9月9日(土)、対談「学年誌の付録にみる子ども文化史」(出演・野上暁氏、徳山雅記氏)。9月18日(月・祝)、講演会「コレクションの楽しみ」(講師・北原照久氏)。
■7月29日(土)、県高等学校文化連盟図書専門部による生徒研修会と第11回ビブリオバトル県予選を、8月26日(土)に同研修会と見学会を当館で開催(当館共催)。
■8月4日(金)、かなぶんキッズクラブ「紙芝居がはじまるよ!」を開催。17日(木)、18日(金)には「子ども映画会」、26日(土)には読み聞かせ会「絵本であそぼ!」を開催。
■8月4日(金)、県立総合教育センターと教員のための「国語の授業づくり研修講座」を共催。当館概要説明及び庄司達也氏の講義「近代以降の文章への新たな視点」など。
■8月9日(水)、DVD上映会「被爆とわたくし」(映像出演・林京子、黒古一夫)を開催。
■9月6日(水)、来春開催予定の特別展「帰って来た橋本治展」の編集委員会が開かれ、編集委員の松家仁之氏が出席。

〈掲示板〉

■第5回ゆらむろ忌(大熊弁玉忌)
10月21日(土)、神奈川区の三宝寺で開催。山根基世氏による朗読と解説「大熊弁玉―女性の哀歓を詠う」ほか。問い合わせは三宝寺(電話045-322-1713)。当館後援。

■子ども読書活動推進フォーラム

11月3日(金・祝)、県立図書館本館とオンラインでも開催。金原瑞人氏の講演「翻訳の言葉、言葉の翻訳」など。問い合わせは神奈川県立図書館(電話045-263-5900)。当館後援。

■大衆文学研究会神奈川支部 令和5年度第4回研究例会
11月25日(土)、当館中会議室で開催。五大路子氏の講演「横浜夢座25周年を迎えて」 。問い合わせは同会事務局・阿部さん(電話090-2646-1206)。当館後援。

■第123回鎌倉漱石の会 漱石忌例会
12月3日(日)、北鎌倉の円覚寺塔頭・帰源院で開催。川島禎子氏 「寺田寅彦『備忘録』について」、今野真二氏「漱石の脳内辞書」の講演がある。問い合わせは同会事務局・菅佐原さん(電話080-5533-2250)。



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