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機関紙166号(抜粋)発行=10月1日

機関紙「神奈川近代文学館」166号から当館の情報を抜粋してお送りします。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。
★機関紙は1部100円、ミュージアムショップ・郵送で販売しています。

〈機関紙166号寄稿など〉
【寄稿・安部公房展】
見知らぬ地図、あるいは燃えつきぬ地図恩田陸
辺境とクレオール―沼野充義
【展覧会場から】
仮説の文学
【寄稿・開館40周年】
来訪のすすめ―宇佐見りん
漱石遺品寄贈の経緯―夏目房之介
畏れの場―藤沢周
【連載随筆】
火の言葉だけが残った③ 赤い火=志賀直哉―吉増剛造
【所蔵資料紹介50】
須賀敦子 父母宛書簡(2)

https://www.kanabun.or.jp/webshop/organ-webshop/


神奈川近代文学館 第166号(抜粋)
発行=2024年10月1日

〈記事〉


◎「安部公房展」を開催

 秋の特別展として10月12日(土)から12月8日(日)まで、「安部公房展――21世紀文学の基軸」を開催する。編集委員は三浦雅士氏、アートディレクションは近藤一弥氏。新潮社ほかの協賛。
 安部公房は、東京府北豊島郡(現・東京都北区)に生まれ、誕生の翌年には父母とともに満洲(現・中国東北部)へ渡り、奉天市(現・瀋陽市)で育った。高校進学を機に家族と別れて内地へ戻り、東京帝国大学医学部に進むが、敗戦が近いとの噂を耳にし満洲へ向かった。敗戦後には過酷な引き揚げを経験。このような生い立ちと戦中、戦後の体験は、後年発表した作品にも影響を与えている。公房は代表作『壁』『砂の女』をはじめとする作品で、自明のはずの名前や身体、居場所などが損なわれることで自己が揺らぐさまや、従来の規範が突如として転倒する世界を繰り返し描いた。多くの作品が各国語に翻訳され、いまも世界中で読者を得ている。
 小説執筆と並行して戯曲やラジオドラマ等の脚本も数多く手がけ、1973年には演劇グループ・安部公房スタジオを結成。俳優の指導から演出、劇中音楽の作曲まで手がけ、自身の理想とする作品世界を創造するために心血を注いだ。本展は多くの初公開・初展示資料とともに、常に時代の先端をとらえ続けた表現者・安部公房の全貌に迫る。
 主な出品資料は「壁―S・カルマ氏の犯罪―」「けものたちは故郷をめざす」「第四間氷期」「チチンデラ ヤパナ」「燃えつきた地図」などの原稿のほか、作家デビュー前に自費出版した『無名詩集』、安部真知画『砂の女』英訳版挿絵原画など。ワープロ「文豪」初号機・後継機、シンセサイザー、カメラなどの愛用品も展示する。総点数は約500点。

◎神奈川近代文学館開館40周年

 神奈川近代文学館は、10月14日(月・祝)、開館40周年を迎える。これを記念して、本号では、宇佐見りん氏、夏目房之介氏、藤沢周理事にエッセイをご寄稿いただいた。記念イベントとしては、10月14日から連続講座「文学・どこへゆくのか」第Ⅲ期がスタート。10月19日(土)には、荻野アンナ館長の司会進行により「かなぶん寄席 笑門来福落語会」を開催する。

◎「文学の森へ」展第2部を開催

 2025年1月5日(日)から3月9日(日)まで、常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち 第2部」を開催する。なお、展示室は12月9日(月)から1月4日(土)まで展示替・メンテナンスのため休室する。

訃報

斎藤栄氏 6月15日死去。91歳。2006年4月から2011年3月まで財団評議員を務められた。

〈資料受贈報告〉

◆櫻井路子氏から、秋元不死男「『櫻井柳城句集』序文」原稿、秋元不死男、大野林火、西東三鬼、島田青峰、鷹羽狩行、中島斌雄、山口誓子ほか短冊など74点。
◆石井耕氏から、筑摩書房編集者だった石井立旧蔵資料として、安藤一郎、石垣りん、井上光晴、谷川雁、松永浩介ら『祖国の砂 日本無名詩集』収録詩人のプロフィール回答はがき、金達寿、宮原昭夫書簡、「VIKING」「くろおぺす」ほかの雑誌など。
◆斎藤真理氏から、橋本治『桃尻語訳 枕草子』(第292段)原稿1枚。
◇甲斐正彦氏から、清水良雄の「赤い鳥」「キンダーブック」挿絵・口絵原画、自画像、スケッチブック、書簡、肖像写真、遺品、鈴木三重吉書軸など、甲斐信枝氏旧蔵資料。
◆興津喜四郎氏から、滝波善雅歌稿、肖像写真、神保光太郎原稿など36点。
◇芥川正敬氏から、飯田蛇笏句稿、佐藤佐太郎、土屋文明、前川佐美雄、結城哀草果、吉野秀雄らの歌稿、金子薫園宛梶田半古、谷口香嶠、相馬御風、佐近益栄宛井伏鱒二、渋川玄耳宛与謝野晶子、与謝野寛、松下英麿宛斎藤茂吉、湯朝竹山人宛森銑三書簡、石塚友二、今井邦子、太田水穂、岡麓、北原白秋、窪田空穂、古泉千樫、笹川臨風、四賀光子、土屋文明、土岐善麿、中塚一碧楼、平塚らいてう、堀口大學、与謝野晶子らの短冊・色紙、野沢如洋画の色紙、潮音社歌会での集合写真、雑誌「潮音」など、同誌の選者だった芥川徳郎氏旧蔵資料。
◆富浜利郎氏より、まどみちお「どうしてだろうと」詩稿、書「いいけしき」色紙など4点。
◇渡邉元彦氏から、山本陽子の詩稿、クレパス画、書簡など。

このほか今回も多くの個人、団体からご寄贈いただきました。

〈購入資料〉

◆長谷川伸自筆ノート「素材雑載」7点。
◆長谷川伸日記「昭和十四年雑抄」8点。
◆金子光晴「鮫」草稿1点。
◆広津和郎「明るさと暗さ」草稿1点。

〈受入済資料〉

◆久保義信氏寄贈資料(本紙163号8頁参照)。

*受入済資料は閲覧できます(本欄資料受贈報告の内、◆印の資料は受入済です。特別資料閲覧は事前手続が必要です)。

〈お知らせ〉

★下記の各行事につきましては、今後の状況により、中止、延期など予定を変更させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
満席などの最新情報については、ホームページでご確認ください。
*特に記載がない場合、開始は14:00、会場:展示館2階ホールです。

◆安部公房展関連イベント◆

◎記念対談
■10月27日(日)
「成長する壁と覗き穴」
出演:近藤一弥、三浦雅士
料金:1,200円(友の会1,000円)

■11月4日(月・振休)
「安部公房と戦後の政治・芸術運動」
出演:苅部直、鳥羽耕史
料金:1,200円(友の会1,000円)

■11月17日(日)
「安部公房または『現在って何?』」
出演:川上弘美、三浦雅士
料金:1,200円(友の会1,000円)

◎文芸映画を観る会(安部公房展記念上映)*会員制上映会
■11月22日(金)、23日(土・祝)各日13:30~
「砂の女」(1964年 勅使河原プロダクション 原作・脚本:安部公房 監督:勅使河原宏)DVD上映
料金:1,000円(友の会800円)

◎スライドトーク(職員の展示解説)
■会期中の毎週金曜日 会場:展示館1階エントランスホール/参加無料(要展示観覧料)

◆その他のイベント◆

◎開館40周年記念 かなぶん寄席
■10月19日(土)
「笑門来福落語会」
出演:金原亭馬生、古今亭菊春、金原亭馬治
司会:荻野アンナ(金原亭駒ん奈)
料金:1,500円(友の会1,200円)

◎文字・活字文化の日関連記念行事
■10月25日(金)
展示観覧無料、抽選でプレゼントあり。安部公房展スライドトーク(14:00~/参加無料)ほか

◎開館40周年記念企画「文学・どこへゆくのか」
■第Ⅲ期「作家が受け継ぐもの」
聞き手・ナビゲーター:湯川豊、尾崎真理子
①10月14日(月・祝) 出演:宮部みゆき
②2025年1月26日(日) 出演:江國香織
各回料金:1,200円(友の会1,000円)

◎かなぶん連句会「東京タワーの巻」
■2025年1月19日(日) 13:30~
選者:小島ゆかり、辻原登、長谷川櫂
後援:月刊「望星」
参加無料(要事前申込)

◆友の会◆

◎2024年度後期文学散歩
11月下旬に仙川を訪問します。

〈館の記録7月-9月〉

■6月29日(土)、7月13日(土)、庄野潤三展記念トークイベント①「物語の幸福」、②「おとうくん、おかあくんの思い出」を開催。①に江國香織氏と刈谷政則氏、②に今村夏子氏と島田潤一郎氏が出演。②の終了後、友の会の集いを開催。
■7月20日(土)、中区・西区の博物館園と共催の「ミュージアム・ミッション2024」がスタート(~9月1日)。
■7月24日(水)、来春開催予定の特別展「大岡信展(仮題)」の編集委員会が開かれ、編集委員の三浦雅士氏が出席。
■7月27日(土)、県高等学校文化連盟図書専門部による生徒研修会と第12回ビブリオバトル県予選を、8月23日(金)に同研修会と見学会を当館で開催(当館共催)。
■8月9日(金)、県立総合教育センターと教員のための「国語の授業づくり研修講座」を共催。当館事業解説及び庄司達也氏の講義「近代以降の文章への新たな視点」など。
■8月10日(土)、企画展「没後10年 古田足日のぼうけん」オープン。会期は9月29日(日)まで。会期中記念イベントを開催。9月7日(土)、花音朗読コンサート「『没後10年 古田足日のぼうけん』に寄せて」を開催(当館共催)。
■8月10日(土)、DVD上映会「被爆とわたくし」(映像出演・林京子、黒古一夫)を開催。
■8月11日(日・祝)、かなぶんキッズクラブ「紙芝居がはじまるよ!」(出演・山下康氏)を開催。14日(水)、15日(木)には「子ども映画会」、20日(火)、28日(水)には、かなぶんひろば・おはなし会(出演・童心社スタッフ)、24日(土)にはワークショップ「ロボット・カミイのなかまたちをつくろう!」(講師・堀内紅子氏)を開催。

〈掲示板〉

■大衆文学研究会神奈川支部 講演会
11月30日(土)、当館中会議室で開催。鈴木輝一郎氏の講演「印税稼いで三十年・夢の暮らしか地獄の沙汰か」 。問い合わせは同会事務局・阿部さん(電話090-2646-1206)。当館後援。

■子ども読書活動推進フォーラム
12月8日(日)、県立図書館本館とオンラインでも開催。名久井直子氏の講演「本を装う ブックデザインの世界」など。問い合わせは神奈川県立図書館(電話045-263-5900)。当館後援。

展覧会やイベントの最新情報は公式サイトをご覧ください。