見知らぬ地図、あるいは燃えつきぬ地図/恩田陸【寄稿・安部公房展】
※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」166号(2024年10月1日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年12月8日まで〉
恩田陸・作家
安部公房の小説には、しばしば写真、書類、新聞記事、地図といった、ビジュアル素材が登場する。それはまさに、近年よく聞くようになったモキュメンタリー(mockumentary・フィクションをドキュメンタリーの手法で描く)を先取りしていた、ともいえる。
彼のカメラ好き、写真好きとも少なからず関係しているだろう。ぎりぎりまで