県立神奈川近代文学館

横浜・港の見える丘公園の中にある、県立神奈川近代文学館の公式noteアカウントです。

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館長就任メッセージ/荻野アンナ 

機関紙164号(抜粋)発行=2024年4月1日

火の言葉だけが残った① 芥川龍之介、名作「蜃気楼」/吉増剛造【連載随筆】

館長就任メッセージ/荻野アンナ 

荻野アンナ・作家、新館長  神奈川は近代日本文学の文豪のゆかりの地であることは皆様もご存知です。川端康成や小林秀雄が住んでいた鎌倉は、太宰治が心中未遂を起こした土地でもあります。同じ太宰の『斜陽』の舞台は小田原郊外の下曽我でした。坂口安吾も、小田原をうろうろしていた時期がありました。本牧から山手を歩いていると、谷崎潤一郎や中島敦や山本周五郎の足跡を追っていることになります。神奈川という磁場に、夏目漱石から柳美里まで、淡谷のり子からサザンオールスターズまで、というのはちょっと

機関紙164号(抜粋)発行=2024年4月1日

機関紙「神奈川近代文学館」164号から当館の情報を抜粋します。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。 ★機関紙は1部100円、ミュージアムショップ・郵送で販売しています。 〈機関紙164号寄稿など〉 【寄稿・橋本治展】 若き日の橋本治―馬渕明子 港の見える丘に立って―千木良悠子 【展覧会場から】 幻の「桃尻娘」応募原稿 【寄稿・庄野潤三展】 おいしい。うれしい。よろこぶ。―中島京子 【連載随筆】 火の言葉だけが残った① 芥川龍之介、名作

火の言葉だけが残った① 芥川龍之介、名作「蜃気楼」/吉増剛造【連載随筆】

※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」164号(2024年4月1日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈連載終了まで〉 吉増剛造・詩人  ゴッホなら、大きな渦巻だろうが、芥川龍之介の心の芯の糸は、ほとんど見えない、幽かな架空の稲妻だ――。それをたとえばわたくしは龍之介が感嘆する、師夏目漱石のここから学んだ。  「風が高い建物に当つて、思ふ如く真直に抜けられないで、急に稲妻に折れて、……」(夏目漱石「暖かい夢」、芥川龍之介「眼に見るやうな文章」全集第三巻百五十四頁)