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ホタルブクロの咲く野へ/橋本麻里【寄稿・古田足日展】
※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」165号(2024年7月15日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年9月29日まで〉
橋本麻里・美術ライター、エディター
目にするたび、心をざわめかせる花がある。本州の山地から平地にかけて広く分布する、ホタルブクロ(キキョウ科ホタルブクロ属)だ。現在では栽培種も普及しており、ベランダに置いた鉢でも育てることができるという。だが四十数年前、
「手をつなごう」からの出発【展覧会場から・古田足日展】
※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」165号(2024年7月15日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年9月29日まで〉
今年刊行から五十年を迎え、今なお子どもたちを夢中にさせるロングセラー絵本『おしいれのぼうけん』(童心社)は、作品の構想から完成までに約三年という長い時間をかけている。古田の発案で、絵と文が緊密に関係し合う「絵本」ならではの表現を試みるため、当初から画家の田