県立神奈川近代文学館

横浜・港の見える丘公園の中にある、県立神奈川近代文学館の公式noteアカウントです。

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  • 機関紙「神奈川近代文学館」

    年に4回発行している機関紙「神奈川近代文学館」の掲載記事や、作家・文学者によるエッセイを期間限定でお読みいただけます。

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記事一覧

館長就任メッセージ/荻野アンナ 

荻野アンナ・作家、新館長  神奈川は近代日本文学の文豪のゆかりの地であることは皆様もご存知です。川端康成や小林秀雄が住んでいた鎌倉は、太宰治が心中未遂を起こした…

こんこんと湧いていたもの/松家仁之【橋本治展図録巻頭随筆】

※本記事では、「帰って来た橋本治展」図録の巻頭随筆を期間限定で公開しています。〈2024年6月2日まで〉 松家仁之・作家、「帰って来た橋本治展」編集委員  橋本さん…

機関紙164号(抜粋)発行=2024年4月1日

機関紙「神奈川近代文学館」164号から当館の情報を抜粋します。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。 ★機関紙は1部100円、ミュ…

若き日の橋本治/馬渕明子【寄稿・橋本治展】

※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」164号(2024年4月1日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年6月2日まで〉 馬渕明子・美術史家  七十年の橋本…

港の見える丘に立って/千木良悠子【寄稿・橋本治展】

※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」164号(2024年4月1日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年6月2日まで〉 千木良悠子・作家、演出家  二〇二…

幻の「桃尻娘」応募原稿【展覧会場から・橋本治展】

※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」164号(2024年4月1日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年6月2日まで〉  小説家になりたいわけではなく、こ…

館長就任メッセージ/荻野アンナ 

館長就任メッセージ/荻野アンナ 

荻野アンナ・作家、新館長

 神奈川は近代日本文学の文豪のゆかりの地であることは皆様もご存知です。川端康成や小林秀雄が住んでいた鎌倉は、太宰治が心中未遂を起こした土地でもあります。同じ太宰の『斜陽』の舞台は小田原郊外の下曽我でした。坂口安吾も、小田原をうろうろしていた時期がありました。本牧から山手を歩いていると、谷崎潤一郎や中島敦や山本周五郎の足跡を追っていることになります。神奈川という磁場に、夏

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こんこんと湧いていたもの/松家仁之【橋本治展図録巻頭随筆】

こんこんと湧いていたもの/松家仁之【橋本治展図録巻頭随筆】

※本記事では、「帰って来た橋本治展」図録の巻頭随筆を期間限定で公開しています。〈2024年6月2日まで〉

松家仁之・作家、「帰って来た橋本治展」編集委員

 橋本さんは機嫌のいい人だった。怒った顔を見たことはないし、苛立った声も聞いたことはない。

 なにかの説明をするときは少し早口で、独り言のようにつぶやいたり、真顔になったり、笑ったりした。たいていは自分の説明のおもしろさに思わずこぼれた子ど

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機関紙164号(抜粋)発行=2024年4月1日

機関紙164号(抜粋)発行=2024年4月1日

機関紙「神奈川近代文学館」164号から当館の情報を抜粋します。詳しくはホームページをご覧いただくか、当館までお気軽にお問い合わせください。
★機関紙は1部100円、ミュージアムショップ・郵送で販売しています。

〈機関紙164号寄稿など〉
【寄稿・橋本治展】
若き日の橋本治―馬渕明子
港の見える丘に立って―千木良悠子
【展覧会場から】
幻の「桃尻娘」応募原稿
【寄稿・庄野潤三展】
おいしい。うれし

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若き日の橋本治/馬渕明子【寄稿・橋本治展】

若き日の橋本治/馬渕明子【寄稿・橋本治展】

※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」164号(2024年4月1日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年6月2日まで〉

馬渕明子・美術史家

 七十年の橋本治の生涯で、私が関わった時間はそれほど長くない。一番濃かったのは学生時代だが、その後は一緒に会っていた皆が忙しくなり、年一~二回の麻雀会で、互いの生存を確認していた程度だ。それでもこの麻雀仲間と一緒に伊豆の民宿に泳ぎに行ったと

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港の見える丘に立って/千木良悠子【寄稿・橋本治展】

港の見える丘に立って/千木良悠子【寄稿・橋本治展】

※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」164号(2024年4月1日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年6月2日まで〉

千木良悠子・作家、演出家

 二〇二四年三月末、「帰って来た橋本治展」が神奈川近代文学館で開催されると知り、不思議な気持ちでいる。文学館のある「港の見える丘公園」は、橋本治が最も愛した「桃尻娘」シリーズ全六巻のラストシーンの舞台だからだ。

 私は十代の頃からの

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幻の「桃尻娘」応募原稿【展覧会場から・橋本治展】

幻の「桃尻娘」応募原稿【展覧会場から・橋本治展】

※本記事では、機関紙「神奈川近代文学館」164号(2024年4月1日発行)の寄稿を期間限定で公開しています。〈2024年6月2日まで〉

 小説家になりたいわけではなく、こういうものなら書ける、と執筆したのが「桃尻娘」だったという。「小説現代」新人賞に応募した結果は佳作だったが例外的に発表の機会を得た。

 初出誌「Gen」(一九七七年十二月号)掲載にあたり、応募原稿の末尾が「分り難い」と指摘され

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